精神障害者のる。です。
入院してたときの話をさせて下さい。
私が入院していた病院では一週間に一度ベッドのシーツ交換を行います。
シーツ交換は特定の曜日に、看護師さんが大量のシーツや枕カバーをカートに乗せて運んできて、一人ずつに手渡ししてくれます。
手渡しされたシーツをパイプ椅子の上に置いておいて、使ったシーツや枕カバーを引っぺがして、各自シーツを交換するということを行います。
その手順を教えられて、シーツ交換しました。やったことないし体力が落ちているので入院患者にとっては週一回の大仕事です。そしてホッとして、ベッドに倒れこんだら、シーツが獣臭いんです。
交換する前はどうだったかもう覚えていません。交換したシーツが獣臭かったことがショックで、記憶から抹消されているようです。
寝ようとベッドに倒れこむと、何ともいえない獣臭がシーツからするんです。
臭いです。
寝ようと思っても、獣臭に悩まされました。
眠剤を処方されているので夜は眠れましたが、昼間横になると何とも言えない獣臭がシーツから漂ってくるのです。
監視されている妄想もあったので、瞬時に「私にだけ獣臭いシーツを渡された」と思いました。
手品師がランダムにひかせたトランプで、手品師の思い通りのカードを相手にひかせるように、看護師さんもランダムにシーツを渡しているように見せかけて、実は特定の獣臭いシーツを私に渡したんだ! と思いました。
看護師さんは獣臭いシーツを渡してきたことから信用できなかったので、面会に来ていた親に「交換したシーツが獣臭い」と訴えました。
「そんなはずはない、あんたにだけ獣臭いシーツ渡せるわけがない」
と、親からは一蹴されました。
手品師のように、上手いことやってるに違いないって必死に訴えてもわかってもらえない。
信じてもらえないことが、一番辛かったです。
親から信じてもらえなくても、シーツからは実際に獣臭がするんですから。
どのぐらい獣臭が続いたかは記憶にありません。
ただ、交換したシーツが臭かったこと、親に「そんなはずはない」と一蹴されて辛かったことが記憶に残っています。
今から思うと、幻覚ならぬ、幻臭だったに違いないと思うのですが。
私は幻覚は今まで見たことがありませんが、幻臭ははっきりしていました。
私にはシーツの獣臭さは、真実だったんです。
もし、周りに幻覚や、幻臭を訴える人がいたら、「ありえない」と一蹴するのだけは止めて下さい。
その人にとってはそれが真実なんですから。
妄想を助長させるようなことはする必要はありません。
難しいとは思いますが、「そういう風に感じるのね。」とただ優しく受け止めてあげて下さい。
それだけで、救われます。
(執筆 る。)