私は中学のころに児童・思春期病棟に入院していたことがあります。
そこでは14~19才くらいの人達がいて、発達障害や精神疾患を抱えている人ばかりでした。ちなみに私は任意で三ヶ月くらい入院していました。
今回、入院生活で出会ったある人とのことを綴っていこうと思います。
入院当初、話し相手が誰もいなくモジモジしていた私との会話にノッてくれたのが19歳の子でした。思いっきり年上だったのですが、気さくに話しかけてくれて、私はさっそく肩の力を抜くことができました。話す内容は主にマンガやアニメのことだったんですね。
そんな彼女(以下、Aさん)は実は統合失調症のようで毎日幻聴に悩まされていました。幻聴の内容はボソボソとしていてよく聞こえないらしいのですが、当時幻聴というものに詳しくなかった私はそれを知ってびっくりしました。幻聴とは無縁で生きてきたので、それって重症なのではないか、と一人焦っていました。
それでも年下の私と仲良くしてくれていい友人になれるなぁと思ったのです。
Aさんは時折調子を崩してしまい、保護室に入れられることもしばしばありました。私はそんなAさんを心配して、相談を受けたり愚痴をこぼし合ったりして付き合っていましたが、Aさんは徐々に私に依存してきているように思えてきたのです。
Aさんはなにか相談ごとがあったら私にその話を持ち掛けてきます。私はその相槌をうつことすら疲れはじめてきました。
そして私は気づいたんです。この関係は健康的ではないと。
Aさんにとって私はセラピストのような存在だったと思います。聞き上手だったからなのでしょう、とにかく私という人間がとても頼りに見えるらしいのです。
しかし私はそんな大した人間ではありません。そのAさんの想いが重荷になり始めた頃、私はLINEで「もう話すのやめようか」の旨のことを告げました。
案の定彼女は取り乱してしまい、そんな彼女をみて私も感情的になりつい電話で喧嘩してしまったのです。お互いにヒステリックになりながら。こうしてお互いにLINEをブロックしました。
彼女とはツイッターでも繋がっていて、そちらのほうもブロックしました。彼女からしたら「裏切られた」という感覚なのでしょうが、私はこれでいいと思うのです。
私はAさんのことを嫌っているわけではないのです。ただ、私にとって負担になるような縁はやはり切るべきだという考えに至りました。これはAさんのために、という意味でもあります。
一人の人間に依存するのもされるのもお互いのためにならない、とその時理解したのですがなかなか複雑な思いです。今も「あの時あんなことしなきゃよかったかな」なんて考えることがあります。
しかし、病人同士の傷の舐め合いは危険です。お互いに依存してしまえばズブズブと沼に落ちるようにベッタリになってしまいますからね。そしてお互いの関係に齟齬が生まれれば大きなトラブルを生みかねません。やはり精神疾患をもつ者同士はドライな関係でいることが最善だと痛感した出来事でした。
(執筆 ろなも)