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発達障害者は進学・就職には家族の支えが必要不可欠

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発達障害 家族

以前,発達障害と進学・就職についてお話させていただきました。今回は続きのようなお話だったり,別の角度からのお話だったりします。おそらく少々長文になります。

発達障害の性差・男性について

発達障害の症状が目立ってくる時期には性差があります。

男性は幼児期から小学生くらいが顕著な時期です。男女で比較した場合,男児の方が多動性が高く集中力も低いため,幼児期から小学校低学年にかけてが特に目立ちます。「話が聞けない」「活動に集中できない」「友だちとのトラブルが多い」「友だちや先生の名前を覚えられない」「忘れ物が多い」「声が大きい」等の様子が見られ,クラスの中でも目立つ存在です。ただ,このころは自己肯定感がまだ高いため,ノリもよくクラスの中心的な存在になっていることもありますので,一概に「困った子」とはいえません。しかし,先生にとってはやはり「困りもの」と言えるでしょう。通知表では上記のような姿の羅列が往々にして見られます。

この時期,成長してくるにつれ「なんでこんなにダメなんだ」と自己否定に陥る場合があります。発達障害を抱える子と典型発達児を比較した場合,不登校や学校不適応となるリスクは発達障害児が2倍以上と言われ,実際不登校・引きこもりとなっている数も多いというデータもあります。男児の場合はこの時期に不登校になることが多く見られるため,この時期に家族が障害受容することで,本人の自己認識を促し自己否定を軽減させることが出来るのです。まだ10歳未満ですので,家族が協力して忘れ物対策をしたり,友だちの気持ちを「こう思ってたんじゃない?」などと代弁して気づきを促すことも,ソーシャルスキルの向上につながっていきます。

発達障害の性差・女性の場合

一方,女性の場合は思春期前後から目立ってきます。男児と比較したときに多動性が低いため「集中できない」「話が聞けない」「声が大きい」など衝動性に関わる特徴が男児に比べて目立ちにくいためと言われています。忘れ物や名前を覚えられないことも,男児の方が目立つため,「気を付けてね」「いろんな人と遊べると名前もすぐに覚えられるからね」といった対応に終わることが多いのです。

ではなぜ思春期前後から目立ってくるかというと,女性特有のことが起因します。簡単に言うと「なかよしグループ」問題です。男性に比べ女性社会は「微妙な気持ちの読みあい」が基本にあります。

これはADHD(注意欠陥性多動性障害)のみならずASD(アスペルガー症候群)もLD(学習障害)も苦手な分野であり,障害のテーマとも言えるものです。女性にしてみれば普通のことだったり,面倒でも人付き合いを考えたら断れないことなのでしょうが,発達障害の人にとって「一緒にトイレに行く」問題や「秘密を共有する」問題,「一緒に居る人が変わるたびに,さっき言ってたことが嘘だった」問題など,様々な「ウラオモテ」問題,「いつでも一緒」問題が増え,さらにこれがグループ内のルールだけど明確に決まっているわけではなく,でもグループに所属することが大切であり,グループ内で目立ちすぎず,でもノリは悪すぎず,という様々な形の人間関係がこの思春期前後に一気に広がるためなのです。

女性特有のコミュニティに対応できず,不登校になることや高校では退学ということも増えてきます。このころには自己否定も複雑になるため,家族のバックアップは簡単ではありません。

女性の場合,家族の障害受容や認知はもう少し早くなされると効果的なのですが,それには幼児期からのコミュニケーションが大切です。男児より目立たないためあまり問題にならないまま思春期を迎えてしまいますが,「忘れ物が多いこと」や「片付けられないこと」「同じ失敗を繰り返すこと」等は男児と同様に幼児期からも見られますので,この頃から家族が一緒に対応を工夫していくことで,「困ったときには家族に相談するシステム」が家庭内に確立されます。家族の中で工夫したことが成功体験につながって,次の問題にぶち当たった時にも「家族に相談するシステム」が機能していくのです。


発達障害を抱える方の家族の障害受容

発達障害を抱える人は,外ではあまりしゃべらないという人も少なくありませんが,逆に家族とはおしゃべりが止まらない傾向があります。

これは,家族は友人のような表裏や微妙な付き合いなどがないため,安心していられるためです。家族の会話を意識していくことで発達障害の状態の理解につながるとともに,悩みや困りごとの把握にも役立ちます。家族が障害受容をしていると,家族の会話からアドバイスにつながりやすくなりますし,本人に伝わる伝え方も工夫しやすいという大きなメリットがありますので,幼児期から下学年(小学1~3年生)の時期に,発達障害の特徴がみられる場合には「なんで忘れ物ばっかりしてんの!」と叱ることより,どうすれば忘れ物をしなくて済むかの工夫を一緒に取り組み成功体験を積んでいくことが,家族との絆を深めしなくていい自己否定を回避できるようになるのです。

発達障害者の進学・就職に際して

このように家族のバックアップを得ること,家族に相談して改善策を見つけられる経験を積むことは,社会性のスキルアップにつながるとともに自己認識も深まり,進学に向けても目標や将来について考えることにつながります。

人との関わりの難しさがあるため,逆に大学に行くと楽になるケースも増えます。

「お一人様」が容認される雰囲気があるのと,(これは多少語弊がありますが)大学教員は発達障害の割合が他の職種より高い(個人的感想です)ため,一般的に言われる「変な人」も受容されやすのです。高校を中退しても大学には行けますし,得意分野で自分を発揮できるようになるのも大学からになると思いますので,発達障害を抱える方は専門学校より大学の方が向くと思います。得意分野にはまって大学院へ進学するようになれば将来大学教員・研究者として更に自分を発揮できるようになることも十分考えられます。

就職する場合も,自己認識や家族の障害受容によって,その分野や範囲を考えやすくなります。必ずしも,憧れや好きな分野が自分の就職先として当てはまるとは言えませんが,就職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔することは,自己認識がなかったり家族の理解がない状態よりは回避しやすいと言えます。

様々な仕事があり,いろんな働き方があります。上記の研究者のように自分の好きな分野を突き詰めていく仕事や,人との関わりが少ない分野,または関わる内容が限定される分野,ウラオモテを読む必要のない分野など様々な仕事が考えられますし,どのように工夫すればできる仕事なのかも家族が一緒なら考えやすいと思います。

発達障害の場合,いわゆる「理系系の人」と特徴がかぶることが多いため,社会的には「理系なんで」という言い方もカモフラージュになるかもしれません(理系系の方,ご理解をお願いいたします)。また,実際に理系系が得意な場合もありますし,へ理屈でも理屈が通れば納得するという特性もあるので,ホントに理系かもしれませんよ(笑)。実際,理系の人付き合いの方略は発達障害にも当てはまることが多いので。

発達障害者の進学・就職 まとめ

発達障害の場合,進学や就職は大きなハードルです。無事に進学・就職できても,その先にまた様々なハードルがあります。でも,家族と工夫して乗り越えてきた成功体験と「家族が頼れるんだ」という安心感があることで,様々な分野で活躍していくことは,そう難しいことではないのです。とどのつまり,発達障害は家族とともに対応することが大切だっていうのが,今回の結論でした。

蛇足ですが,腹を割って付き合えるなら家族じゃなくてもいいんです。

(執筆 平泉(たいらいずみ))

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平 泉(たいら いずみ) by
公務員保育士として25年働いたのち、大学院に進み教育学修士を取得(発達心理学分野)。自らがADHDとアスペルガー障害の併存型であり、研究対象も幼児の発達障害という…根っからの発達障害者です。