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発達障害? 認知症? ちょっと変わった高齢者は当てはまるの?

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高齢者

「ちょっと変わっているなあ」と思う人は、身近な所に一人や二人いませんか? 普通に生活して、挨拶もしてくれるし、町内の行事にも積極的に参加しているけど、何となく「変わっているなあ」と思えてしまう人。印象で判断する場合もあれば、何らかの障害を持っていることもあるし、年齢を重ねれば「認知症」という可能性も出てきます。

私が出会ったおばあちゃんも、間違いなく「変わった人」でした。

障害者などに対する善意がアダに

おばあちゃんと出会ったのは老人デイサービス。お年の割には若く見え動きも俊敏でした。「認知症」があり落ち着きがなく、怪我をすることもしばしばあり、「作話」も認められる。会話が成立しないこともある等、問題行動に関する記述たくさんがありました。

利用初日。ご用意したお席に座っても目はキョロキョロ、体はモジモジ。環境に慣れていないから仕方がないと思っていましたが、通所の回数を重ね、気軽にお話ができる友達ができても「キョロキョロ、モジモジ」は消えませんでした。

そんなある日、突然立ち上がったかと思ったら、隣の椅子にぶつかっても、何事もなかったように走り出しました。慌てて止めようとした職員に大激怒。「危ないから」とたしなめる職員の話は全く耳に入っていないようで、止められたことに怒り心頭のご様子でした。場所をかえて走り出した理由を伺うと、要領を得ない部分が多々ありましたが、要約すると「離れた席の人が、椅子の後ろにかけてあった上着が落ちたことに気づいていなかったので、拾ってあげようと思った」とのことでした。良いことをしようと思ったのに、止められたことが怒りの原因でした。後に、突然の行動についておばあちゃんのお子さんに伺ったところ、「自分が子供の頃から、母の突発的な行動はよくあった。今でも周りを見ていないので、ぶつかったり転んだりと危なくて仕方がない。骨折したこともあった」ということです。

良いことをしようと行動すること自体、全く問題ありません。が、危険を回避するという意識が欠落した行動には危険が伴います。一点を見ると他が見えなくなること、昔から注意力散漫で突発的な行動が認められていたことを踏まえ、発達障害がベースにあるのでは? と思うようになりました。

認知症? だからなのか、椅子から落ちそうでも気が付かない

突発的な行動とは逆に、手作業などで興味を持たれた事に関しては、周りが見えなくなるほど集中してしまうことがありました。お話し好きなのに、お友達の話しかけにも全く反応を示さず、ただ一点を見つめて作業に集中。体が傾いて椅子から落ちそうになっているのに気づかない。「危ないですよ」と声をかけても、肩を叩いても無反応でひたすら作業を続ける。体を支えて姿勢を直し、耳元で名前を呼んで初めて気づく、といった状態です。椅子から落ちそうだったこと、何度も声をかけたことをお伝えしても「そうだった? 」と全く自覚されていませんでした。


集中しすぎて切り替えができない『過集中』、集中していると体幹保持が困難になってしまうなど、『協調運動障害』が疑われる場面も見られるようになりました。

障害者や認知症患者を介護する時のトイレは一苦労

トイレ誘導は一苦労です。お誘いしても「まだいい」と言われますが、そのあとすぐに失敗することが多々あるため、時間ごとに声をかけても「行かない! うるさい! 」と激怒。「トイレいきたいでしょ? 行ってくれると嬉しいなあ」「そろそろ行きましょうよ、トイレ。随分時間が経っているし」等、機嫌を損ねないよう気をつけても断固拒否。半ば強制的にトイへ行くと失敗寸前。ご本人は「座ったら出た」と、あっけらかんとしたご様子でした。

尿意があるからトイレに行く。普通のことですが、体の感覚がわかりにくい『感覚統合障害』があると仮定すれば、この方の言動も理解できます。また、声かけも余分な言葉を省き「トイレに行く時間です。立ってください。トイレまで歩きます」と変えたところ、「立って‥トイレまで歩きます」と、スムーズに応えていただけました。

発達障害? 認知症? まとめ

家族旅行に行かれたと聞いて、「何が楽しかったですか?」と伺うと、質問とは全く違う答えが返ってきたそうです。話を聞いた職員は「認知だし、作話もあるから仕方ないよね」といわれましたが、何か腑に落ちない。同じ質問をしてみると、確かに旅行とは程遠い話の内容でした。でも、よくよく聞いてみると「ホテルの人が二人いて、二人とも女の人で、同じエプロンをしていた。一人は太っていてエプロンの蝶々結びが小さくて、もう一人は痩せていて、エプロンの蝶々結びが大きかった。太っているのが小さくて、痩せているのが大きいのが見られて楽しかった」という内容でした。分かりにくいけど、旅行中の楽しかった出来事をちゃんと話されています。聞き手としては「家族で食事をしたことが楽しかった」「いろんなところに行けて楽しかった」という答えが当然返ってくると思っていたので、ご本人が話された「楽しかったこと」は「質問とは違う答え」と判断してしまったのでしょう。

同じ質問を数回しましたが、内容には一貫性がありました。『作話』ではなく、この方にとって旅行の楽しい思い出だったのでしょう。認知の切り取り方が違えば、「楽しい」と思うことも違って当然です。

抱えている大変さは人それぞれ

このおばあちゃんが『認知症』なのか『発達障害』なのか、はっきりとはわかりません。しかし、高齢者 →変わった行動 → 認知症と結論付けるのはいかがなものかと思います。現状の問題に目を向け、対処方法を考えることも大切ですが、問題行動の起点を考えることも必要です。

いろいろな観点から、その方が抱えている大変さを知る努力を惜しまない。そこに費やす時間は、お互いが楽に生きるための必要経費なのかも知れませんね。

(執筆 Radius)

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社会福祉士
障害者福祉の現場を離れて10年になる。
知的障害者が「精神薄弱者」と呼ばれていた時代から勤務。措置制度から契約制度への移行も経験する。相談業務、日常生活支援、余暇活動支援、就労支援、一人暮らし支援等多くのサービス提供に携わってきた。
長い現場での経験から学んだことは「感じる」大切さだ。「考える」だけでは見えないことも、「感じる」アンテナが働けば展望が開けることもある。
私が実践してきたことが、今現場で試行錯誤している職員の皆さんの参考になればと思う。