私はアスペルガー障害を持っておりで人とのコミュニケーションが苦手です。一度数少ない友人にそのことを相談したら、「要するに人見知りってことでしょ? 色々難しく考えすぎなんじゃないの? 」と言われてしまいました。
その時は「そうなのかなあ」と苦笑いを浮かべることしかできませんでしたが、本当はあの時友人に言いたかったことがあります。
「俺の症状は絶対世間一般で言われているような人見知りとは別物だし、そんな言葉で片付けないでくれ!」と。
あの時友人に言えなかったことを、この記事を読んでいる方には、是非わかっていただきたいです。アスペルガーと人見知りは似て非なるものだということを。
そもそも人見知りとは、初めて会った人やあまり仲良くない人たちに対して緊張してうまく話せなかったり心を開けなかったりする人のことを指します。なので、人見知りの人の中には普通の人に比べると人と仲良くなるのに時間がかかったり多少友人が少なかったりする人が多いと思います。
ですがここで重要なのは、一般的に人見知りと呼ばれている人達は結局はしっかりと友人を作ることができ、その関係を長く継続していけるということです。
対してアスペルガーというのは、人との距離の取り方が苦手な障害です。
人との距離が上手くつかめないと、初対面の人なのにドギツイ下ネタを言ってドン引かせてしまったり、逆に何度も会っている人に対していつまでもそっけない態度をとってしまったりします。
人見知りの人は人との距離が最初は遠く、徐々にそれが近づいていきますが、アスペルガーの人はその距離が最初から0だったり、逆にいつまでたっても100だったりするのです。
例えば私は人と初めて会う時はひょうきんな態度で饒舌に話すので「すごく明るい方ですね。」と言われることもしばしばあります。しかしそう言われた人に何回か会って交流を重ねていくうちに必ず言われるのが「こんなに暗い人だとは思わなかった。」ということです。
私はなぜか、初対面の人に対する緊張は全くないのです。ただ同じ人と何回もあっていくうちに段々と原因不明の気まずさが増していき、最終的にはその人と同じ空間にいることに耐えられなくなっていきます。
なので私にとって辛いのが人生の中で一番長く付き合っていく家族とのコミュニケーションです。生まれた時からずっと一緒にいるので、その気まずさは半端ではありません。兄弟や親とは目を合わせることもできません。正直すごくつらいですし、何より今後友人や恋人、夫婦となる人たちとも最終的にはこうなってしまうのかと想像するだけで嫌になります。
アスペルガー障害を持つ人の中にはおとなしい人から積極的な人まで本当にいろいろといるのでひとくくりにすることはできません。ここに書いてあることももちろん私個人に該当するアスペルガーの症状なのであって、家族と仲の良いアスペルガーの人もたくさんいると思います。ただ、「俺人と話すの苦手だからアスぺかも。」と悩んでいる人多くのは、この記事を読んで自分を振り返ってみてください。
あなたは家族と話すとき緊張しますか? 昔から知っている友人と会うとき気まずいですか?
もしあなたが狭いながらもしっかりと交友関係を持ち、家族と楽しく団欒ができているならそれはただ人見知りなだけかもしれません。そして会うたびに段々よそよそしくなってくる人が周りにいたら、ぜひ気にかけてあげてください。
(執筆 さいけ)