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就労を目指す障害者が「就労移行支援」を利用する5つのメリット

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障害者就労支援

この記事を書いている時は、暑い日が続いています。 ライターの桜井弓月(さくらいゆづき)です。

以前の記事で、就労を目指している障害者のための通所型福祉サービス「就労移行支援」をご紹介し、就労移行支援の特徴と、利用する事業所を選ぶ際のポイントを書きました。その記事はこちらになります。

今回は、就労移行支援事業所の元支援員という立場から、就労移行支援を利用する5つのメリットをお伝えします。

【1】通所することで障害者が就労準備を整えられる

療養やリハビリ期間を経てすぐに働くのは、生活リズムや体力など様々な面で大変ですよね。通勤が可能なのか、体調をコントロールできるのかなど、不安もあって当然です。

そこで、「就労移行支援事業所に通所する」というワンクッションを置き、就労に向けた準備期間を設けることも一つの手ではないでしょうか。

毎日決まった時間に起きて決まった場所へ行き、一定時間作業をこなして、決まった時間に帰宅する。それだけでも、最初のうちは骨の折れることです。決められた日数、決められた時間の通所に慣れ、心身の状態をコントロールする方法を身に付けることで、就労のハードルを少しずつ下げていくことが可能です。
通所を仕事と見なすことで、自分にはどんなことが必要なのか把握することもできます。

例えば、公共交通機関の混雑にどの程度まで堪えられるか経験から分かれば、通勤時間や勤務時間の可能範囲を見極められます。通所を通して、週に何日程度の勤務であれば体力的に可能なのかも分かってくるでしょう。あるいは、通所を継続する中で、服薬や補助具などを「就労に適したもの」に調整し直すことの必要性を感じたり、働く上でどんな配慮が必要か見えてきたりすることもあります。

就労移行支援事業所のスタッフは、常に「仕事するうえで、どうか」という視点で利用者さんと接しています。ですから、就労に向けて自分は何が課題なのか、医療や他の福祉関係者とはまた違ったアドバイスを得られるかもしれません。

【2】障害者が就労に必要な様々な基本的スキルを身につけられる

多くの就労移行支援事業所では、事務作業や軽作業などの実務訓練の他に、身だしなみや電話応対をはじめとするビジネスマナーや、コミュニケーションスキル習得のためのカリキュラムが組まれています。日々の訓練やスタッフとのやり取りの中で、報連相のやり方や仕事の指示の受け方、チームワークなどを学ぶこともできます。また、就労先に対する自身の障害や必要な配慮の伝え方なども、適宜スタッフと相談しながら考えることができます。

障害者枠での就労では、ビジネスマナーや自身の障害についてきちんと伝えられることなど、基本的なスキルがとても重要なのです。

【3】障害者が企業実習を受けることができる

企業実習には「体験実習」と「雇用前実習」の2種類があります。

体験実習は、その企業での就労を前提としたものではなく、経験を積むためのものです。

実習先の企業でやっている作業の一部を経験できるため、事業所での訓練以上に、実際の職場で働くイメージを具体的につかむことができます。また、実習先の企業からの評価(フィードバック)によって就労に向けた課題が明確になり、その後の目標が立てやすくなります。体験実習は、受け入れ企業と就労移行支援事業所をはじめとする支援機関との日頃からの協力関係によって成り立っているものですので、ひとりで就職活動をおこなっていると経験できないことです。

雇用前実習は、いくつかの企業で採用の最終選考に取り入れられています。もしくは、採用決定後、入社までの間に実施されることもあります。

本採用の前に実習することで、職場とのミスマッチを防ぐことができます。給与や勤務時間などは求人票に記載されていますが、職場の雰囲気や障害への理解度は、現場に入ってみないと分かりません。雇用前実習を受けていれば、「そこで本当に働けそうかどうか」を現実的に検討することができ、就労への不安軽減にもなります。
企業側としても、実習を通して本人の障害特性を知ることで、職場として配慮すべきことを本採用までに準備することが可能です。

雇用前実習は「就労移行を利用していなければ経験できないこと」というわけではありません。しかし、採用過程に実習を組み込んでいない企業に対して、就労移行支援事業所から雇用前実習を提案するケースもありますので、ひとりで就職活動をおこなうよりは、本採用前のお試し期間を得られる可能性が高いです。


【4】障害者が就職後もサポートを受けられる

以前の記事でも述べたとおり、就労移行支援の支援内容には「定着支援」という就職後のサポートがあります。

いざ働いてみると、いろいろと困ったことや悩みごとが出てくるかもしれません。支援に携わっていた私が言うのはおこがましいのですが、そういうときに相談できる場所があるのはとても心強いものです。困っていることがあるけれど職場に言いづらいとか、どのように伝えればいいか分からないとか、そんなときには解決策や職場へのお願いの仕方などを一緒に考え、助言します。場合によっては、事業所がご本人と職場の間に入ることもあります。

職場の上司や同僚は、仕事上の指導や配慮しかできません。主治医は、病気や障害に関する治療や助言が専門です。それに比べると、就労移行支援事業所は支援の過程で利用者さんの生活環境も含めた全体を把握していますので、仕事以外の日常生活の面でも相談に乗ることが可能です。

例えば、一人暮らしの利用者さんが「通所していた頃は家のことを自分でできていたけれど、働き始めてからは身の回りのことがままならない」と困っているとします。その場合、勤務時間を少し減らすほうが良いのか、家事援助のヘルパーを利用するほうが良いのかなど、いくつかの解決策が考えられます。ご本人のお気持ちと現状を整理するとともに必要な情報を提供し、どんな解決方法がご本人にとって最善か、一緒に検討します。就労移行支援事業所のスタッフは、仕事とそれ以外を切り離して考えるのではなく、「ご本人が心身ともに無理なく働き続けるには、どうすれば良いか」という視点でサポートします。

【5】障害者を雇用する企業が安心する

法定雇用率(※)の上昇に伴い、障害者雇用に取り組む企業は増えつつあるように思います。ですが、「どんな業務を割り振ればいいのか」「どのような配慮をすればいいのか」「すぐ辞めてしまうのではないか」など、企業側も様々な不安を抱えています。障害者雇用が初めてでノウハウのない企業や、障害者雇用で失敗したことのある企業は、特に試行錯誤でしょう。

そのような現状で、「就労移行支援事業所のような支援機関を利用している人を雇いたい」と考える企業が少なからず存在します。企業側としても、求職者を採用後もサポートする支援機関がついていると何かと安心なのです。採用した障害者との関わり方や仕事上で配慮すべきことについて支援機関の助言を仰ぐことができますし、自分たちだけで解決が難しい問題が起こったときに、支援機関に間に入ってもらえるからです。

また、就労移行支援事業所が、いわば「保証人」のようになって、企業に安心感を与えることができるという面もあります。「突発的な休みはほとんどなく通所している」とか、「与えられた作業を指示通りにしっかり取り組むことができる」などの実績を支援者が客観的に伝える(=太鼓判を押す)ことで、ご本人の自己アピールが補強され、説得力が増すわけです。

私が勤めていた就労移行支援事業所でも、企業から求人情報が持ち込まれて、適性のある利用者さんの紹介を求められることがありました。企業にしてみれば、ハローワークに求人を出して自社に合う人材を待つよりも、支援機関に協力してもらうほうが確実で効率的なのです。求職者にとっては、ハローワークで探すだけでは出会えない求人に巡り合うチャンスが生まれるということです。

障害者が「就労移行支援」を利用するメリット まとめ

今回は、就労移行支援を利用するメリットを私の独断と偏見で5つ選んでみました。もちろん、この5つ以外にも様々なメリットがあると思います。皆さんが就労に向けて一歩踏み出す際の参考になれば幸いです。

参考

※法定雇用率とは
国や地方公共団体、民間企業は、常時雇用している労働者数の一定の割合以上、障害者を雇用することが義務づけられています。この「一定の割合」を法定雇用率といいます。2017年現在、民間企業の法定雇用率は2.0%です。つまり、常時100人を雇用している民間企業の場合、障害者を2人以上雇う義務を負っていることになります。民間企業の法定雇用率は2018年4月に2.2%、2021年3月末までに2.3%に引き上げられる予定です。

(執筆 桜井弓月(さくらいゆづき))

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桜井弓月(さくらい ゆづき) by

脳性麻痺の車椅子ユーザー、である前に、女です。

自称、エセ物書き。のらりくらり生きてます。

方向音痴にもめげず、電動車椅子で町なかを暴走……いや、しとやかに徘徊中。

数年前に流行った動物占いは「笑いながらキツイことを言うトラ」。当たっているか否かはナイショです。