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私が電車で出会った知的障害のあるポジティブな女性の、心がホッコリする話

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知的障害 心が温まる話

ライターの桜井弓月(さくらいゆづき)です。

今回の記事を書こうと思い立ったのは、2017年7月26日のことです。神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件から、丸一年が経過した日です。

私は、この記事の中で事件について述べるつもりはありません。代わりに、先日電車で出会った知的障害がある女性のことを書きます。やまゆり園の事件とはまったく関係がなく、「ほっこりした話」です。

その女性は面識のない人で、たまたま同じ車両に乗り合わせ、知り合いの男性と一緒に私の目の前に立っていました。話し方から察するに知的障害があるようで、話の内容から、作業所での仕事を終えて帰宅途中であることが分かりました。

知的障害のある女性が言ったポジティブな一言 その1

私が電車に乗ると、その女性と向かい合うかたちになりました。

彼女は、私を見るやいなや「Tシャツ、かわいい」と言ってくれたのです。私が着ていたTシャツの柄を気に入ってくれたようでした。見ず知らずの人に突然そう言われて、正直少し驚きましたが、褒められたので悪い気はしません。

彼女は私に話しかけたというより、思ったことをそのまま呟いたという印象でした。他人の服を見て「かわいい」というプラスの思いがパッと湧き、それを口に出す。そこに、とても素直で明るい人柄を感じました。

その女性が赤の他人を目の前にして思ったことをそのまま口にしたのは、知的障害ゆえなのでしょう。その言葉が人を貶したりしつこく質問したりするものであれば、不快に感じるところですが、「かわいい」というポジティブな一言はこちらをいい気分にしてくれ、微笑ましくもありました。

知的障害のある女性が言ったポジティブな一言 その2

そのあと、その女性はとなりにいる男性とお喋りしていました。その会話の中で「週末は予定がないので、家にいると思う」と言った男性に対し、女性は「家にいるの、いいね。家族といるのがいいよね」と返しました。

そこでまた私は「ポジティブな人だなあ」と感心したのです。

一般的に、休みの日に何も予定がないのは寂しいことだと考えがちではないでしょうか。実際、男性の口調にもそういったニュアンスが含まれているように聞こえました。しかし、彼女は「いいね」と全面的に肯定したのです。それは男性に対する慰めでもなければ、家にいられることを羨んでいるふうでもなく、ただ純粋に「いいな」と思って言っただけのこと、という感じでした。彼女自身、家で過ごすこと、もっと言えば、家族と家で過ごすことが好きなのだろうと思います。


休みの日にあちこち遊びに行くのも豊かな人生ですが、「家族と家にいられるのは、いいこと」と思えるのも、とても素敵なことです。「家族と家にいるのがいい」と思える彼女は、家族に愛されて育ったのでしょう。見ず知らずの他人であっても、その人が愛されているのだろうなと感じられるのは、心が温かくなるものです。

短い時間で垣間見た、知的障害のある女性の長所

たまたま電車に乗り合わせたたった数分間で、私はその女性の良いところを存分に見せてもらった気がします。

私が感じた彼女の長所、それは「人にポジティブな言葉を伝えることができる」ということです。これはある意味、とてもコミュニケーション能力が高いと言えます。

男性との会話の中で、彼女は何回か「すごいね」とも言っていました。「かわいい」「いいね」「すごいね」は、どれも相手を肯定する言葉です。そこにおちょくる気持ちが含まれていない限り、肯定の言葉を言われた人はたいてい気分が良いものです。相手を気分良くさせることは、会話をスムーズにします。彼女は、おそらく意図せずに、それができているのです。
相手を肯定し、ポジティブな言葉を伝えられるのは、彼女自身が人生を明るくポジティブなものと感じているからではないでしょうか。そう想像したとき、やはり私の心はほっこり温かくなったのです。

負の感情を乗り越えるために、ポジティブな感情を共有したい

私たちは日々、いろいろな出会いを経験します。好ましい出会いもあれば、良くない出会いもあります。出会いによって温かい感情が生まれることもあれば、負の感情がうずまくこともあります。

社会に存在する憎悪や排他感情を乗り越えていくには、私たちはどうすればいいのだろうか……答えは簡単に見つかりません。

でも、日々の好ましい出会いや温かい感情を拾い集めて、それがどんなに小さなことでも、多くの人たちと共有できたら、何かの足しになるのではないかと思います。それこそ、私が電車で出会ったあの女性のように、ポジティブな言葉で伝えられたら……そんな思いから、この記事を書きました。

最後になりましたが、やまゆり園の事件で亡くなった19人の方のご冥福を心から祈るとともに、重軽傷を負われた方々おひとりおひとりが、これから穏やかで豊かな日々を歩まれることを切に願っています。

(執筆 桜井弓月(さくらいゆづき))

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桜井弓月(さくらい ゆづき) by
脳性麻痺の車椅子ユーザー、である前に、女です。
自称、エセ物書き。のらりくらり生きてます。
方向音痴にもめげず、電動車椅子で町なかを暴走……いや、しとやかに徘徊中。
数年前に流行った動物占いは「笑いながらキツイことを言うトラ」。当たっているか否かはナイショです。