うつ病と診断されたのは21歳のとき。小学4年生頃から学校に行くのがとても大変で、高校を卒業して社会人になってからも仕事が続かず、バイトに行き始めても数日でやめることが何度もありました。
死にたいと本気で思うようになったのは24歳の頃で、自分がただ存在しているだけでツライ、息をしているだけでツライという状態が続いていたのですが、母との関係が悪く家を出て一人暮らしをしていたので毎日薬を大量に飲みながらどうにかバイトへ行っていました。
わたしがこんな状態になったのは母のせいだと当時は思っていました。なぜなら子供の頃からネグレクトにあい、小学生の頃からほぼ一人暮らしのような状態だったからです。ほとんど放置されていた上に、たまに寄ってきては暴言を投げつけていく、それがわたしの母に対するイメージでした。
わたしが人と話すのが苦手なのも、空気読めないのも、まともな就職先がないのも、虫歯で歯がぼろぼろなのも、痩せて肌がカサカサなのも、全部母のせいだと思っていました。
でも、自分の子供ができたことで、違うんじゃないかな? それだけじゃないんじゃないかな?と思うようになりました。
36歳のときに子供を産みました。男の子です。明るく社交的で、物怖じせず、我が強く、口が達者というわたしとはまったく逆の性格なんです。
この息子が3歳のときから実家で母親と一緒に暮らしているのですが、母は昔とは違って怒ることはまったくなくなりましたが子供をバカにしているようなところはあまり変わっていなくて、息子とちゃんと会話をしない、適当に嘘をついてごまかす、何を言っても笑うという態度をとっていました。
わたしは相変わらず母がどんな風でも心の中で「嫌だな」と思うだけで何も言いません。ところが息子はどうでしょう。母に対して「なんで?どういうこと?」「昨日〇〇って言ったよね?」「なにがおかしいの!なんで笑うの!」ってどんなことでも全部ぶつかっていくんです。
わたしのように心の中にためこんで恨みをつのらせるというのではないのです。
全部言葉に出して、感情に出して、ためこまない。だから息子はおばあちゃんのことが大好きです。
たぶん息子だったらわたしが子供のときと同じ環境にあっても「ママ、寂しいから一緒にいて!」って言っただろうし「お腹すいた、ご飯!ご飯!」ってご飯が出てくるまで言い続けただろうし、「虫歯治せって先生に言われてるんだけど」って何回も言ったに違いないし、母は母で根負けしてもうちょっと良い母親をやっていただろうなと。
息子を見ていて、わたしが母を恨んで鬱になったのはわたしの大人しく無口で控えめな性格によるところが大きいのだろうと初めて気が付きました。環境はきっかけではあるけれど、それだけで鬱になるわけではなく、生まれ持った性格や気質が関係しているんだなと。
だからといって鬱になりやすい自分の性格がダメだとは思いません。
一般的に真面目で誠実なタイプが鬱になりやすいと言われていますね。普通に考えれば良い性質ですし、そのままで良いはずです。
ただ、鬱になりやすい性格なんだと客観的に見ることができていれば、環境に飲み込まれずに済んだのかもしれないなとは思います。
「わたしはなんで生きてるんだろう?」
常に自分の中にある問いでした。
その答えを知りたいといつもいつも思っていました。スピリチュアル系の本から始まり、やがて哲学書を読むようになりました。この世界ってなんだろう、存在ってなんだろう、確かなこととは何だろう? 考え続けていました。
そして自分なりの答えを見つけたのが今から3年前、39歳のときでした。うつ病と診断されてから15年後のことです。それからは一切死にたいと思わなくなりました。
うつの状態はそのときどきで良くなったり悪くなったりしていましたが、死にたいとか、すごく辛い精神状態になることはもうないと確信がもてたとき=治ったと自分では定義しています。
わたしのたどり着いた答えは何か? すべてを説明するのは難しいのでここでは簡単に書いてみます。
こちらの図を見てみてください。
普通は図のように大勢の中にいるひとりの自分を「私」だと思って生きています。
これはもうひとつの見方です。自分も他人も含めた世界のすべてを一歩引いた視点から眺めている自分がいます。この自分の存在(本当の自分)に気付いた、それがわたしの答えです。
なぜ生きているのか? 理由はありません。ただ存在しています。そして苦しさも辛さも含めて生きることとは楽しみなのです。本当のわたしの視点から見れば生きることは映画を観るような楽しみでありおもしろいことなのです。
小さな自分に入り込んでいると生きることはときにとても辛いものになります。ときどき顔を上げてしばし人生という物語から抜け出してみてください。つらいと思っている自分を外から眺めてみてください。映画を観るように世界を眺めてみてください。少し勇気がいるかもしれませんがやってみてください。あなたに良い変化が訪れますように。
(執筆 ぴかちゃん)