私は、軽度の聴覚過敏者です。ゆえに、耳栓がないと就寝できなかったり、生活音に耐えられなかったり、音には敏感です。また、ストレスや不安を抱えると、聴覚過敏の症状がひどくなります。そこで、一日だけ聴覚過敏の対策を行わずに、健常者と同じ生活を行うとどうなるか、体を張って体験しました。なお、聴覚過敏といっても、普段は外出もでき仕事も出来ます。
私は日頃、耳に響く生活音をシャットダウンするために、音楽を聴きながら在宅ワークを行います。そのため、健常者と同じ生活に合わせるよう、午前中は音楽を聴かず生活音を聞きながら在宅ワークを行いました。なお、普段より生活音が静かだったので、思ったより在宅ワークに集中できました。
午前中は、聴覚過敏による集中力は途切れなかったものの、身体に疲労が現れました。また、身体の疲労を例えるならば、アトラクションの騒音を聞き続けた時のだるさです。
少々、在宅ワークで疲労を感じながらも、午後は仕事に必要な材料を購入しにデパートへ向かいました。なお、私にとってデパートはBGMや子供の声や苦手な物音が多く、聴覚過敏者としては避けたい空間です。
デパートに入店した時は、思ったより聴覚過敏による疲労はないように思えました。というのは、お客が少ない時間帯だったため、BGMも話し声も小さかったからです。しかし、仕事に必要な材料が見つからず、夕方になり買い物客が増え、会話やBGMが気になり集中力が途切れました。なお、私の感覚では、ショッピングを楽しんでいるはずなのに、勝手に足取りが重くなっていました。また、買い物客が増えるにつれ、買い物客を避けるような動きをしていました。
その後、聴覚過敏はひどくなりBGMやアナウンスが、頭にガンガンと響き頭痛がおきました。また、目眩に襲われ空間がゆがんで見えました。いわば、度の合っていない眼鏡をかけて、人混みをさまよう状況と似ています。
何とか仕事に必要な材料を購入して、帰宅できました。しかし、いつもなら、夜に仕事を行える状態ですが、仕事が手につかない状況に陥っていました。
聴覚過敏を我慢した結果
・涙が止まらない
・朝、耐えられていた生活音が大きく聞こえる
・生活音が怖くて動けない
・疲労で寝込む
・呼吸が乱れる
・手足がしびれる
聴覚過敏の対策を行わず一日を過ごし、涙があふれることにショックを受けました。なお、あまりのショックで、過呼吸を起こしかけました。なぜなら、私は健常者と同じ物音を聞いて、生活ができないと改めて感じ、パニック状態に陥りました。
過呼吸を起こしかけた時に、耳栓を装着したら数分で平常心に戻りました。また、三時間ほど耳栓を装着して過ごしたら、聴覚過敏による身体の疲労は消えました。ただ、耳栓を装着していなかったら、どうなっていたか分からないです。
もし、ストレスや不安による聴覚過敏者がパニックになった際は、耳栓を渡すか物音をたてないように過ごしましょう。なお、私は聴覚過敏で疲れている時は、話しかける声も耳に響きました。
(執筆 城岸美稀)